要介護者とその家族の苦悩や絆、そして尊厳死(安楽死)とは・・。
観終わった後多くの事を考えさせられる映画「ロストケア」を皆さんご覧になりましたか。
原作は小説の「ロストケア」となります。
小説映画ともに「尊厳死(安楽死)」「介護」「孤独孤立」と言う重い問題を深く追求している作品ですが、原作と映画ではどこが違うのでしょうか。
そしてこの作品は神奈川県相模原市で発生した、障害者施設津久井やまゆり園の事件が元ネタではないかと言われているんです!!
記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。
多くの命が奪われた残酷な事件でしたが、実際にあのやまゆり園の事件が元ネタとなっているのか気になりますよね。
今回は映画「ロストケア」について深掘りしていきます。

映画「ロストケア」の原作と映画の違いは何?元ネタはやまゆり園の事件って本当?考えさせられる作品ってどうゆうこと?
この記事を読まれている方はこんな疑問を抱えているのではないでしょうか。
- 映画「ロストケア」の原作と映画の違いについて
- 映画「ロストケア」の元ネタについて
- 映画「ロストケア」が考えさせられ泣ける作品と話題の意味について
ロストケア原作と映画の違いは?映画がひどいという理由も
小説が原作となる映画「ロストケア」。
気になるのは原作と映画どんな違いがあるかですよね。
さらにこちらの映画を見た方の中には「酷い」との声もありました。
その理由も紹介していきましょう。
原作と映画の違い
まず気なっている方も多い原作と映画の違いを紹介します。
- 犯人の判明するタイミング
原作:なかなか犯人は判明しないサスペンス色強めのストーリー展開
映画:序盤に犯人が「斯波」だと判明 - 重要な人物検事の大友の性別
原作:男性「大友秀樹」
映画:女性「大友秀美」 - 大友の親
原作:父親は裕福でフル介護の高級老人ホームへ入居
映画:父とは絶縁状態で困窮によって亡くなり、母は認知症で老人ホームに入居 - 人物描写
原作:細かく深く登場人物全ての心理的描写と背景を描いている
映画:斯波の父親を介護していた頃の状況や、抱える苦悩が描かれるシーンが抽象的で簡略的 - 大友の友人「佐久間功一郎」
原作:原作で物語に厚みを持たせている重要な人物
映画:存在(登場)すらしない
調査した結果上記の違いがあります。
他にも少し性格の印象が違ったりなどもあり、それはやはり小説から映画にするうえでの演出上しょうがない部分もあるでしょうね。
映画は文章では表現できない部分を、映像(視覚)で視聴者に訴えかける工夫をされていると感じました。
特に衝撃のラスト15分のシーンはそれを一番感じます。
小説も映画もそれぞれ良さがあるので是非どちらも観てみてくださいね^^
映画がひどいとい言われる理由
「尊厳死(安楽死)」「介護」「孤独孤立」など、重く難しい問題を取り上げている映画「ロストケア」。
多くの方が考えさせられると言うことで高評価、そして是非見てほしいと勧めてられている作品です。
しかし一定数「映画が酷い」との声もあるんですよね。
理由は何なのでしょうか。
実際に視聴した方の声を確認すると、上記の理由でひどいとの声はありました。
ではそれぞれ詳しく紹介していきましょう。
ラスト15分の演出が狙いすぎ
映画「ロストケア」はラスト15分の演出が良くも悪くも話題となっています。
感動した泣けた!!との高評価の声の一方で、
字がいかにも年寄りが震える手で書いた感を出してるのがわざとらしすぎて興冷めした
最後手紙の朗読は無い方がよかった
フィクション丸出しで冷めた
ちょっと狙いすぎ
そのような声が実際に上がっています。
過剰な演出との印象を受ける方もおられるようですね。
ストーリーや登場人物の心理描写が浅い
小説は登場人物の心情や心理、その時状況や背景を深く濃くしっかりと描いています。
ですので時間制限もある映画の中では、
抽象的だったり簡略化された表現となってしまっていると感じる部分はある
小説を読んだ方の中には「浅い!!」と思ってしまう方はおられるでしょうね。
登場人物の背景や心理が深く描かれることで物語に深みも生まれます。
それが浅いと物語全体が軽くなってしまいますからね。
そういった映画では表現しきれなかった、登場人物の背景や心理描写が足りない部分に対して酷いと言われているようです。
とは言え映画も本当に深く「介護」「支援」という社会的問題を捉え、その闇や問題を私たち視聴者に問いかけてくる内容となっていますよ。
◆配信開始
— Netflix Japan | ネットフリックス (@NetflixJP) February 14, 2025
映画『ロストケア』
松山ケンイチ、長澤まさみ 出演。
ある訪問介護センターで利用者が立て続けに死亡。犯人として浮上した介護士・斯波宗典(松山ケンイチ)は検事の大友秀美(長澤まさみ)に「僕は42人を救いました」と主張。
事件に隠された衝撃の真実とは?
#ロストケア pic.twitter.com/b1cH932WmD
ロストケアの元ネタはやまゆり園?実話やモデルについて
皆さんは神奈川県相模原市の津久井やまゆり園で起こった事件を知っていますか。
障害者施設やまゆり園にて利用者19人の命が1人の男性の手によって奪われた事件です。
この事件が「ロストケア」の元ネタではないかと思っている方は多いんですよね。
実際本当に元ネタはこの事件なのでしょうか。
やまゆり園の事件は、原作小説が出版されて3年後に起こっているんです。
この事からこの物語に障害者施設やまゆり園の事件は一切関係ない事が分かりますね。
時期的にインスピレーションを受けたという事もないでしょう。
では別の事件や実話をモデルにしたのか調査したところ、
介護の辛さや大変さを実際に作者が味わっている
作者である葉真中顕(はまなか あき)氏は30歳の頃に祖父の介護を経験しています。
この介護が作品執筆のきっかけになったとインタビューで語られていましたよ!!
実際に起きた事件ではなく、自身の介護経験から色々なことを感じ、そこが作品の原点になったようです。
具体的にご本人が、
認知症の悪化とともにしんどさはあった。
一年という短い期間で妻も一緒だったからよかったのかもしれない。
もし長期化していたら・・・
もし独り身での介護だったら・・・
もしシングルマザーでの介護なら・・・
もし収入が少ないもしくは無職だったら・・・
「そうじゃなかったら」の問いを小説に落とし込んだ
※一部抜粋
上記のように話しておられます。
さらに自身の経験だけでなく「ロストケア」を執筆するにあたり、衝撃を受けた事件もあったようなんです!!
それは、
京都伏見介護殺人事件
・2006年に発生
・50代の息子が一人で認知症の母の介護
・認知症が進むにつれ常時介護が必要になる
・息子は仕事を休職しその後は退職
・生活も苦しくなり息子は生活保護の申請を試みるが、息子本人は働けると判断され受理されない
・結果母親と共に心中を図るが息子が生き残った
なんとも痛々しく悲しい事件ですよね。
とても優しく真面目な息子さんだったようです。
もっと支援があれば生活保護が受理されていたら・・・。
「ロストケア」の斯波と重なる部分がありますよね。
もちろんどんな理由であれ犯罪は許されません。
ただ社会の助けがあれば結果は変わったのかもしれない。そんな想いに駆られてしまう悲しい事件です。
この事件が元ネタという事ではありません。
しかし「ロストケア」を描く上で、大きな影響は与えた事件ということは間違いないのではないでしょうか。
ロストケアは考えさせられる映画!泣けると話題に
映画「ロストケア」を観た後は、
本当に色々な事を考えさせられる映画となっています。
実際の感想にも、
検事さんの言うことも分かるけど、じゃあ誰が助けてくれるの? 誰も助けてくれない世界なのに
人の尊厳ってなんでしょうね。介護する側にもされる側にも本来あるはずのモノなのに、守られない現実。
平均寿命が延びたことにより認知症はもはや他人事ではない。お金のある人は第三者機関に任せれば良いがお金も乏しく在宅介護で働く時間もない頼れる人もいない人はどう生きればいいのか。正しいとは言わないが俺には斯波を責められない。
介護についての問題(介護される人する人双方の悩みや社会制度の穴、国や公務員の雑な対応など)が描かれています。遠からず私も経験するであろう事を真剣に考えさせられる作品でした。
本当の多くの方がこの映画をみて、真剣に尊厳死(安楽死)や介護の実態について考えていました。
大切な父からの「殺してくれ」との願いから始まった、斯波の要介護者とその家族を救済する殺人。
事実亡くなった事で介護が終わって喜び安堵する人がいるのも現実でした。
何が正くて正義なのか。何が救いなのか。
このような事件は現実でも起こっていますよね。
その際「安全地帯にいる人」は、
役所に相談していれば
家族親族に相談や援助をしてもらえれば
プロの手を借りれば
そんな事を思うでしょう。
しかし実際そのようなことは、当事者は既に分かって試みているのではないでしょうか。
現実は、
役所に相談しても助けてもらえない場合は?
独り身で兄弟や親族が居ない人は?
プロにお願いするお金の余裕がない人は?
誰が救ってくれるのか。どうやって救われるのか。永遠にも感じる介護の孤独と孤立。
斯波は自分たちのような状況に置かれている当事者の事を「穴の底を這う人間」と表現していました。
また「大切な家族の絆が家族をどれだけ苦しめているのか」とも言っています。
人の命を奪う行為は決して許されない。でもそれしか道がない人もいる。
綺麗ごとだけでは救われない現実も存在するこの社会。
心が締め付けられます。
当事者だからこそ理解出来ない心情ではないかと思いました。
最後の15分のラストシーンには賛否ありますが、斯波(当事者)の苦悩や孤独が本当に伝わってきます。
もう涙が止まらない・・。
自分自身の身体が自由に動かなくなり、家族の手を借りなくてはならない要介護者となった時でも、生きたいと思うのか・・。
家族が要介護者になり毎日毎日介護と自分の生活でいっぱいいっぱいになった時、今の平常心で考えられるのか、大切な家族を疎ましく思わないと言い切れるのか・・・。
斯波がしてしまった行為を、自分が当事者(穴の底を這う人間)となった時に「悪」だと心から言えるのか・・。
本当に考えさせられますよね。
当事者(介護する側される側)になりうる可能性が十分に考えられる現代だからこそ、視聴者自身が登場人物に感情移入しやすいのかもしれませんね。
だからこそ観た後に目を背けず真剣に考えてしまうのではないでしょうか。
まとめ
今回は映画「ロストケア」について深掘りしました。
<<原作と映画の違い>>
・犯人の判明するタイミング
・重要な人物検事の大友の性別
・大友の親の設定
・人物描写の細かさ
・大友の友人「佐久間功一郎」
<<映画は酷いと言われる理由>>
・ラスト15分の演出が狙いすぎ
・原作よりもストーリーや登場人物の心理描写が浅い
<<元ネタについて>>
・障害者施設やまゆり園の事件が元ネタではない
・作者自身の介護の経験が作品の原点
・京都伏見介護殺人事件は作者に衝撃を与えた
<<話題の理由>>
・当事者(介護する側される側)になりうる可能性が十分に考えられる現代だからこそ、目を背けず真剣に考えてしまう人が多い
・当事者の苦悩や孤独が詰まった最後のラスト15分のシーンは涙が溢れる
尊厳死(安楽死)や介護そして孤独と孤立と言う、とても重い内容ではあります。
しかし決して目を背けてはいけない問いかけでもありますよね。
自分がいざその「当事者」となった時に、斯波の殺人を悪だと心から言えるのか・・。
本当に色々な事を考えさせられる作品となっています。
小説と映画ではそこまで大きな違いはありません。
しかし小説は登場人物の心理や背景を細かく描き、映画よりもより深みがあります。
映画と小説どちらも見ることで、さらにこの物語を深掘りする事ができるのでおすすめですよ^^
映画「ロストケア」は、U-NEXT・アマプラ・Netflixなど多くの配信サイトで視聴可能となっています。
是非一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
コメント